航空機エンジン部品サプライ-育成講座(主催:名古屋商工会議所)にて,“航空機エンジン部品に参入される企業に求められるQMSの「質」”と題して,講師を務めました。

内容は,~工程設計プロセスの「質」であり,リスクアセスメントの「質」である~,サブテーマは,
①JIS Q 9100の正しい理解 求められるQMS,
②リスクマネジメントの手法,リスクの評価についてです。

 このリスクに関連する,
①「JIS Q 9100の正しい理解」については,ISO 9001/JIS Q 9100の「リスクベースの考え方」,「リスク及び機会への取り組みの選択肢」,さらに
②航空機エンジン部品の工程設計,製造プロセスの「リスク」に関連する事項は,規格箇条8.2.2,8.4,8.1.1,8.1.3,8.5.1.3等のリスクアセスメント基準,製造能力(capability),生産能力(capacity),ハザード(hazards)に関する要求事項とその具体例での解説でした。

 今回のメルマガの本論は,“生産性=コスト 品質とコストをどう両立させるか?”です。

実は,セミナーの後の質問でした。そのご質問の内容は,“高額な設備を導入しています。品質を確保し,コストと両立させる方法について説明してください”というものです。

 私は,“航空機エンジン部品加工に参入して,黒字になるには相当時間,数年から10年が必要です。”そして,“顧客に「製造方法の変更*」を提案し,地道な改善を図るしかないのです。”と回答しました。質問された方は,納得されたか否かは不明でした。
注記*:重要な部品については,製造工程の変更は,顧客の承認対象とされる場合が多い。

その後に,ご質問をよくよく考えてみるに,
①航空機エンジン事業に参入を検討し,高額設備を導入する際に,
②参入のタイミング(新規プロジェクト又は増産中なのか,又は減産中なのか)を理解して,
③顧客の立場(サプライヤを替える必要性,すなわち発注価格が大きく低減できるメリットはあるか,増産で現在のサプライヤへの発注で対応できないのか)を推定し,
④設備投資する際,「リスク及び機会」を検討したのだろうかとの疑問を持ちました。

その理由は,現存の航空機エンジンサプライヤは,20年~40年にわたり,航空エンジン事業で改善を図ってきています。品質は安定しており,コストがほどほどであれば,顧客であるOEMは,現存のサプライヤを替えるリスクがあります。

高額設備を導入して,“品質とコストをどう両立させるか”のこと以前に,企業戦略としての航空機エンジン業界に参入する「リスクと機会」について,十分に検討する必要があったのではないかと思った次第です(つぶやきです)。