このタイトルは,11月10日(土)愛知県春日井市主催の「自主防災組織リーダー研修会」の講演会に参加し,“講演の最後に発せられた言葉”です。私は,町内会の防災役員であるとともに品質保証技術者,コンサルタント,経営者として同感と共に感銘したので記述したものです。
講演のタイトルは,「タイムライン防災と避難問題」です。
講師は,河田 恵昭氏 京都大学名誉教授 関西大学理事,防災関係の世界的第一人者です。

本年,日本の大災害は,6月大阪地震,7月西日本豪雨,9月台風直撃,9月北海道地震等が発生し,大きな被害を受けています。講師は,それらすべて被災地に足を運び,被害状況と状態,避難問題等を調査され,国,各自治体に報告と提言されています。
それら被災地での地震,地滑り等の発生については,ほぼ予測されたことであるが,それに対する予防的活動の困難さがあり,大災害に陥っているとの話もありました。

世界中の被災地にも出かけ,海外出張は430数回とのことです。典型的な失敗と成功の例を簡単にここに紹介します(講演資料からの抜粋です)。

(1)2005年ハリケーン・カトリーナの失敗・・・災害の教訓
・死者:1,836人,1,250億ドルの被害,市民の60%がニューオーリンズに未帰還。
・誰もが最悪の事態(高潮による堤防破壊)が起こることを考えていなかった。
・『災害情報』は十分あったし,それなりの事前準備をしていた。
・連邦政府,州政府,市当局のバラバラで,情報共有もなく,連携が不可能であった。

(2)2012年ハリケーン・サンディの成功・・・・カトリーナの教訓反映
・人的被災は,ゼロであった。
・予め州政府と地区で早い段階で調整し,避難対応ができていた。

さて,講演の中で「住民はなぜ避難しないのか」についてもお話がありました。これには私も関心がありましたので記載し,対応を考えました。以下は,河田先生のお話と資料より紹介します。

A) 小学生と中学生の共通点
・小学生,中学生では先生は必ず,正解のあることしか教えていない。
・正解のない問題を解く努力をするという訓練を今の教育は実行していない。
・卒業すると,社会には答えのない問題の方が圧倒的に多い。
・後者に遭遇した時,絶望的にならないように努力を継続することが必要である。

B) 親を失った児童,生徒に学校は何を教えられるのか
・このような悲しみに遭遇するとは誰も考えてもみなかった。
・一時的に気を紛らわせても,解決する方法はない。

C) 問題は,自治体も住民も災害を他人事(ひとごと)と考えていること
・これが普通の姿だと認識する。決して異常ではない。
・しかし,これではいけないと気づかないと駄目である。
・気づいたとき,絶望的にならないように努力を継続するマインドが必要である。
以下,「住民はなぜ避難しないのか」については,これにて省略します。

 さて,私は,このタイトルをメルマガの題材としてとり上げたのかです。その理由をお話しします。
 製造業では,材料,製品等において「検査データの改ざん」等の話題が報道されています。
これらの情報は,「ネガティブ情報」です。

 経営者は,“自社ではありえない”と思いたいのです。特にネガティブ情報(不適合,クレーム,さらには不正の情報等)等については,三原則(現地,現物,現実は,現地で現物をみて,現実を知って)に基づいて,対処する必要があるからです。不正が,他社で起こっていることを,自社はどうなのかと自分の目で確認する必要があるのですが,「ネガティブ情報」は,“診(見)たくない”,“自社に限ってそのようなことはない”と考えたい心境になります。
「避難警報」について,“私自身,大丈夫”との心境になりがちです。防災への対応だけでなく、業務についての「ネガティブ情報」について考えさせられました。  文責 門間

参考:「タイムライン」について:国土交通省の資料より
タイムラインとは,災害の発生を前提に,防災関連機関が連携して災害時に発生する状況を予め想定し共有した上で,「いつ」,「誰が」,「何をするか」に着目して,防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画です。防災行動計画とも言います。国,地方公共団体,企業,住民等が連携してタイムラインを策定することにより,災害時に連携した対応を行うことができます。
以上