本話題は、2009年6月1日にHPコラムにて掲載した内容の一部を紹介するものです。航空機産業の品質管理の歴史(故郷)をたどりつつ、現在のQMSと変化点を理解するのも面白いことでしょう。

————- 2009年6月1日 当社ホームページにて掲載した内容の一部 ———————-

JIS Q 9100が、本年(2009年)4月20日に改正されました。これを機会にJIS Q 9100の原点を訪ねてみたいと思います。その中から、航空機産業における品質マネジメントシステムの要求事項の本質が見えてきます。
「ISO 9001に決まっている」という声が聞こえてくるようです。JIS Q 9100がISO 9001をベースとして制定されていることは事実ですが、原点ということではないのです。原点は、1950年米軍で制定されたMIL Q 5923なのです。それでは、一足飛びに戦前及びMIL Q 5923制定の経緯、狙いについてたどってみましょう。

1. 米国における航空機の品質管理
1.1 第二次世界大戦中の米国(米軍)における調達装備品の品質管理
第二次世界大戦中の米軍に軍の製造施設が極めて限られていましたので、必要な装備品の一部しか供給できませんでした。そのため、大部分は民間企業によって賄われました。この間、軍の装備品に対する考え方は、「責任は買い手にあり」というものでした。一度、装備品を受け入れてしまえば、その後に不適合が発見されても「売手側(メーカ)に責任はない」というものでした(現在では、全く考えられない概念です)。

そのため、軍として品質を確保する唯一の方法は軍の検査官によってその品質を全数検査するという考えでした。調達量の増加に伴い検査部門の人員が増加し、終戦直前には5万人、空軍だけでも14,000人の検査官がいたといわれています。しかし、それでも戦争中の膨大な軍需物質を供給するために新人を採用しているために、軍需物質の品質低下は防ぎようがありませんでした。

そこで、軍は第一に、受入検査に当たって統計的な方法である抜取検査方法を採り入れ、納入業者が品質管理を実施せざるを得なくなるような啓蒙を行いました。第二は一連の戦時規格を制定し、品質管理の普及活動を展開しました。また、軍は契約相手方が社内検査をして納入したものを再び検査を実施して受け入れる、いわゆる二重検査方式を採りました。しかし、この方式は検査工数の割には効果がないことがわかり、空軍では審査検査(Surveillance Inspection)という新しい概念に基づく検査方式を採用しました。しかし、当時はあまり理解されませんでした。

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現在:
航空宇宙産業界では、製品の製造コストに対する検査コストが一般商品に比べて高いことは昔(1960年代)に比べて低くなりましたが、まだ高いことには変わりがありません。
近年、「検査の不正」の話題が新聞等をにぎわしてきました。検査で保証するのではなく、品質マネジメントシステム(経営活動の一つとして)で保証するということが求められています。

次回:1.2「第二次世界大戦後の航空機の品質確保」です。

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