本メルマガは、2009年7月12日に掲載した話題です。

JIS Q 9100:2009 7.4.3「購買製品の検証」の中で、検証活動の委譲について次のように規定しています。
“注記2 検証活動には、次の事項を含めることができる。
- 供給者に対する検証の委譲、又は供給者認証
供給者に検証を委譲する場合には、組織は、委譲についての要求事項を定め、移譲の登録を維持しなければならない。”

購買製品の検証(受入時の検査活動)を、発注者が実施するのではなく受注者(サプライヤ)に委譲しているケースが、航空宇宙製造企業で急速に増加しているように見受けられます。多くは検査コストの低減と納期の短縮からの判断と思います。委譲による検証の方法自体には問題ありません。しかし、その維持・管理の運用に問題があるようです。

1.発注者側から見た検証活動の委譲と課題
検証を委譲するには、次の①~③を確認し、適切と判断した場合に委譲する必要があります。
①検証を委譲する範囲、すなわち検証を委譲する製品と検証内容の明確化
②検証を委譲するサプライヤのQMS体制及び検査員の力量の確認
③検証を委譲する購買製品の品質実績

しかし、検証を委譲した当初は、スムースに運用されたとしてしても、2年、3年を経過後は、上記①の検証委譲したサプライヤのQMS体制の確認は、JIS Q 9100認証機関に任せて、検査員の力量確認、確実に実施しているでしょうか。
また、②の検証を委譲した購買製品の品質状況の確認は、どのようにしているのでしょうか。まさに、「検証活動の委譲のプロセス」をどのように監視しているかということです。

現実は、サプライヤに任せっきり、そしていつの間にか放任していることはないでしょうか。顧客からの購買製品に対するクレーム、苦情等の急増で驚いていることはありませんか。特に、検証を委譲した製品の品質確認を、書類確認で受領している場合、受入検査での製品合格率は、書類不備以外は100%となります。これでは、検証活動の委譲のプロセスを監視しているとは言えません。定期的にサプライヤの検査・試験成績書などの信憑性を、自ら受入検査・試験を実施することにより確認する必要があります。(次回は、2.「受注者側から見た検証活動の委譲」です)

————- ここまで 2009年7月12日 当社ホームページにて掲載した内容 ———————-

現在:JIS Q 9100:2016では、次のように改定されました。
   “外部提供者に検証活動を委譲する場合には、組織は、移譲についての適用範囲及び要求事項を定め、移譲の登録事項の登録を
    維持しなければならない。組織は、外部提供者の委譲された検証活動を定期的に監視しなければならない

コメント:2016年版で、より適切な規格になりましたね。

追伸:3月5、6日の各新聞で“I社、航空エンジン整備事業で無資格者に検査をさせていたことが発覚した”との記事を見受けました。
   自動車製造業における無資格検査員による最終検査の話題が下火になりましたが、今度は航空エンジン業界です。残念ですね。