日常生活の中でリスクという用語が、いろいろな場面で使用されるようになりました。例えば、自然現象面では南海トラフ地震、房総沖巨大地震の発生に備える、疾病面では「はしか」の流行に備えるといったことです。

「リスク」という用語は、JIS Q 9000:2015によれば、「不確かさの影響」です。これ以上、リスクの定義の細部に入ることをやめることにします。

JIS Q 9100:2009、2016年版で(運用)リスクマネジメントの要求事項がうたわれ、ISO 9001の要求事項でも「リスクに基づく考え方」が随所に出てきましたね。

ここで品質保証活動への経営資源配分に関して、コスト面からアプローチした「品質コスト」の概念があります。航空機等の技術的に高度で複雑な製品の調達において、米軍はMIL Q 9858A(Quality Program Requirements)の中で品質コストの把握・分析の結果を国防省に報告する義務を課しました(1960年代~1980年代)。

旧防衛庁の「品質保証共通仕様書」の中でも同等の要求ながされました。「品質コスト」の中身は、予防コスト、評価コスト、損失コストに分類され、具体的には、下記の事項です。

(1)予防コスト:・FMEA, 設計審査、信頼性試験
         ・初期品質計画(検査・試験計画、購買先監査計画、教育計画)等
         ・是正処置、予防処置
(2)評価コスト:・検査、試験の実施
(3)損失コスト:・不適合製品、クレーム等の処理

経営として、予防コスト、評価コスト、損失コストのバランスをどのようにとるかが重要です。このことは経営者の決定事項です。

予防コストを減らせば、生産過程での不適合発生による損失コストは減少するかもしれませんが、納入後のクレーム発生による損失コストが増大するでしょう。損失コストのうちクレーム発生は、顧客の評価を落としブランドイメージを低減させます。

品質保証活動で重要なことは、予防活動(リスク低減)に重点をおいて品質確保、損失低減して、お客様の満足を確保することです。その結果として、適切な利益を得ることができます。

————- 上記は、2009年10月13日のメルマガの一部を修正して記載しております   ———————-

 上記で、 JIS Q 9100:2016(ISO 9001:2015)では、「予防」という要求事項はなくなり、「リスクに基づく考え方」が出てきましたね。参考になりましたか?

 今日(日経新聞3月15日)にて、“神鋼、不正の代償重く 罰金1億円判決 生産遅れ、コスト増”との記事が掲載されていました。損失コストが増大しているのです。自動化等を含めて「信頼回復が最優先」ということで、復活を期待しております。