1.不適合の原因として「検査漏れ」ということは
大企業様の品質改革・改善を目的とし品質診断をする機会があります。その時に遭遇するのが、不適合の原因として「検査漏れ」ということが随所に記載されていることです。そのときの私と検査担当管理者との問答を下記に示します。

質問(私からの質問):検査漏れとは具体的にどのようなことですか。
回答(管理者からの回答):検査員が、当該箇所を検査していなかったので検査漏れとしました。
質問:それでは、検査手順書(検査箇所と検査方法を示した文書)はどのようになっているのですか。
回答:検査手順書はありません。しかし、検査の基準は図面ですから図面のすべての箇所を検査すべきであり、検査しなかったので、原因を“検査漏れ”と記載したのです。

皆さん、この問答をどのように考えられますか。なるほどと思う反面、何かおかしいと思いませんか。私は入社当時から部品検査の経験も、検査手順書を作成したこともあります。

まず検査手順書なしの状態で図面を基準として検査するときに、この部品はどのような加工方法(冶具、NCソフトプログラムなど)、初品なのか、何ロット目なのか、また機能上重要な部位、特性はどこか、公差の厳しい箇所はどこなのか等々です。

初品なら全特性を検査しますが、初回製品検査(FAI)済みのものは、図面指示の全特性を検査しないのが通例です。FAI済みであれば、重要部位、公差の厳しい箇所を重点に検査します。一般公差箇所は検査しません。

検査手順書が準備されている場合は、その指示とおり検査すればよいのです。検査指示箇所の特性に不適合があれば、検査漏れ又は検査ミスということになります。

私が言いたいことは、安易に不適合の原因を検査漏れ=検査員の不注意というのではなく、なぜそうなったのか、例えば、
①検査手順書の準備の有無、「有」の場合の検査指示はどうだったのか、
②根本原因として加工上の問題は何だったのかを調査し、是正対策に導いていくことです。

2.品質管理部門の管理者は、「検査」の体験を
主題に戻りましょう。私が危惧したのは、検査担当管理者が、検査の基準は図面ですから図面のすべての箇所を検査すべきであるとの回答です。
私は、最後に次のような質問とコンサルタントとしてのコメントをしました。

質問:あなたは、いままで直接自分で部品、製品を検査したことがありますか。
回答:いいえ、いままで(技術部門で設計をやっていましたので)検査の経験はありません。
コメント:1週間、いや1日でもよいから検査現場に出て、図面を基準にして、部品を検査してから検査計画、品質管理計画を立てるようにされたら良いです。

このような背景には、技術部門の人が人事異動で初めて品質管理部門の検査担当管理者に任命されているということがあります。自社(自分)では、どのようにしているかを自問していただければ幸いです。
著者 門間

・書籍 Message for Aerospace Quality Engineers  2010年9月2日 第1版第1刷発行より