1.誠実に

QA,QC技術者、管理者に求めるものにつきましては、理路整然ということで、①計画の重要性、②システマティックな業務の進め方、③重点指向で、④ストリーのある業務の進め方 について述べてきました。

今回は、「誠実に」ということを述べたいと思います。
「理路整然に」という前に、「誠実に」ということが最重要であることは明白です。誠実という意味には、真面目(まじめ)、正直(しょうじき)、真心(まごころ)があります。

(1)真面目に
真面目というと、会社生活では、一生懸命に業務に取り組むということです。QA,QC技術者、管理者が製品・サービスの「質」確保のため全社的な品質保証、品質管理活動に全力を投入することです。単に品質保証部門あるいは品質管理部のためにやるのではありません。
自部門のためだけに活動するのであれば、部分最適で全体最適になりません。それには、他部門の方々を説得する必要が多々発生します。課題・問題について理路整然と一生懸命に説得をすることですし、相手の立場も思ってお話しすることです。

(2)正直に
正直の反語としては嘘、偽りです。嘘、偽りの記録、報告をしないことです。苦しくなると嘘、偽りの製品検査記録、報告をする。あるいは、管理者であれば黙認するという行為です。あまりこのようなことをQA,QC技術者、管理者へのメッセージに記載したくはないのですが、新聞沙汰になる偽造記録はこれです。

心を鬼にしてこの行為に手を染めてはなりません。一度やり始めるとそれが次第に慢性化し、当たり前になってしまいます。したがって、事実は事実と受け止め対処することです。

(3)真心で
真心とは、誠実というより“誠意と情熱”をもってということに近いと思います。私の経験談で恐縮ですが、MU-300,767航空機の形態管理(Configuration Management:ADCL*,APCL*,ABCL*の証明)の構築の際に、品質保証係長の私が、取り纏めに手を挙げて遂行することになりました。

FAA、お客様に証明するためには、技術部、製造部、品質保証部のみならず、事業所全体で使用している設計システム、生産管理システム等々とのコンピューターシステム間のマッチングに関連している電算システム部門との連携が欠かせません。

毎週、毎週関連部門の課長さんを訪ねてConfiguration Management Systemを構築しなければならない理由の説明を繰り返しました。最後は、“お前の形態管理にかける思いがわかったよ”ということで形態管理の電算システムプロジェクトが“GO”となりました。“誠意と情熱”であったと振り返っております(1992年の頃のことです)。

*注記:ADCL(As Designed Configuration List)=APCL(As Planned Configuration List)=ABCL(As Built Configuration List)の省略

著者 門間
・書籍 Message for Aerospace Quality Engineers  2010年9月17日 第1版第1刷発行より

蛇足:その後2000年に、AS/EN/JIS Q 9100:2000初版が制定され、箇条4.3に「形態管理」要求事項が、“組織は、その製品に適した形態管理手順を確立し、文書に定め、維持すること”として規定されていました。以上